LIFE(仮題).

つれづれ……というにはあまりにも休み休みですが(笑)。

はてなダイアリーの一冊百選

指名を頂いてからいったい何ヶ月放置していたのでしょうか……。年度が切り替わるのはいくらなんでもアレなので。
しかも、絶版している本を紹介するのもいかがなものかとは思いますが、まあまだ古書店等で比較的入手は容易ですし、と言い訳しつつ。


追憶の一九八九年 (角川文庫) 著者:高橋源一郎
いつだったかこのブログで「カバン本」として紹介した一冊でもあります。
いわゆる「ポストモダン」の旗手として小説界にデビューした高橋源一郎なんですが、出会いが書評本(文学じゃないかもしれない症候群)だったせいか、わたしには書評やエッセイや競馬予想の方がしっくりきます。

この本は、雑誌に連載された「1989年の日記」をまとめたもの。今から16年前の高橋源一郎は、あんなコトやこんなコトが起こる前の姿ながら、文章の上では現在とさほど変化していないような日常を送っています。

わたしがこの本に特別の愛着を寄せる理由は「その日常に引きつけられる」ということももちろんのこと、「1989年」つまり、「昭和から平成に移り変わる1年」の毎日がつづられているということにもあります。あの時自分は何をしていたのか、どんなことが起こっていたのか……。ニュースや話題で振り返る企画はいくらでもありますが、日常生活という視点からこれを回想できる、という存在は非常に貴重なんじゃないかと。大げさに言ってしまえば、相応の史料的価値を感じているのです。実際、「平成元年に何があったか」を思い出すときにはまずこの本を引っ張り出してみるわけで。

あまたの「日記本」があり、それぞれの視点でいろんなコトが語られています(ヘタをすれば、このブログだってその類に入ってしまうわけですが)。が、「日記の背後から時代が立ち上がってくる」感覚を覚えるのはこの本と、武田百合子の『富士日記』くらいかな……と。


……しばらくまとまった形式の文章を書くことから離れていたら、なんだかとっちらかってしまいました。思いついたらこそこそと追加したりします。
さて、そしてこれを次回はどなたに……。